10月の音楽鑑賞では、3週にわたってショパン国際ピアノコンクールをテーマに取り上げました。
生徒さんや保護者の方から「どうやって鑑賞するピアニストを選んだの?」「どんな感想を持った?」と聞かれることが多かったので、ここで少しまとめてみようと思います✨
🎧 音楽鑑賞で紹介したピアニストの選び方
1回目の鑑賞:第一次予選から

1回目の観賞では、第一次予選から3人のピアニストを採り上げました。鑑賞初日の朝、まだ予選は終わっていませんでしたが、その時点で演奏を終えたピアニストの中から選びました。
さすがに全員の全ての演奏を聴くのは難しいので、“最初の数音”を聴いて予選通過するかどうかを直感で選びました。そうなんです、カンなんです。
「えっ、それで分かるの!?」と驚かれたけれど、これはたぶんピアノの先生やプロの演奏家、ショパンのマニアなら分かると思います。
上に進む人は、最初の一音からすでに違うんです。そういうピアニストの演奏は、思わずしばらく聞き入ってしまいました。何が違うのかと聞かれてもうまく説明できないけれど、とにかく格が違うんです。YouTubeの画面を通していても違いがハッキリ分かりました。
もちろん、みんな自国を代表して出場しているピアニストばかりなので、全員が上手です。でも「世界一にふさわしい音」かどうかとなると、話は別。
2回目の鑑賞:第二次予選から
2回目の鑑賞は、第二次予選から2人を採り上げました。この時も予選が終わっていなかったので、鑑賞初日の朝時点で演奏を終えたピアニストから選びました。第二次になると、第一次ほどの驚きがなかった(第一次が良かった分、落差が激しかった)ピアニストもいました。そういう方はやはり第二次で落選していました。

3回目の観賞:第三次予選から
3回目の鑑賞は、第三次予選から2人を採り上げました。第三次予選ともなると、実力が拮抗していて選ぶのが難しかったです。さすが、2回も予選を通過しただけのことはあります。鑑賞初日時点で既に本選が始まっていましたが、第三次出場者の中でまだ鑑賞で採り上げていないピアニストから選びました。
ちなみに3回の鑑賞で紹介した5人のうち、4人が本選出場、3人が入賞🎖
…ということで、私の耳もそこそこ悪くないかも(笑)

🌏 アジア人のレベルが特に高まった印象のコンクール
今回のコンクールでは、アジア出身のピアニストがとても多く、「アジア大会かな?」と思うほどでした。
名前からすると、中国にルーツを持つ方が多かったように感じました。どの方も本当に素晴らしい演奏で、上位入賞を果たしたのも納得です👏
欧米人が下手になったのではなく、アジア人のレベルが高まったのだと思います。
🎵 本選を聴いて感じたこと
ソロで素晴らしくても、コンチェルト(協奏曲)になると印象が変わるもの。
オーケストラに埋もれてしまったり、逆にピアノが前に出すぎてしまったり、気合いが空回りしているように感じた人もいました。
このあたりは経験値がものを言う世界ですね。だから若いピアニストには少し不利かも…と思いきや、10代のピアニストが入賞を果たしているので「若いほど不利」なのかは分かりません。
正直、今回の本選は「この人が突出している!」というのが感じられませんでした。
だから“もしかして第一位ナシかも?”と思ったくらい。すごい演奏ばかりで耳がマヒしたのかな💦
当教室の音楽鑑賞では、本選はとりあげませんでした。演奏時間が長いので時間的に無理。
YouTubeでコンクールの全ての演奏を視聴できるので、興味がある方はぜひ見てください!
🎹 ピアノの話
今回出ていたピアノはスタインウェイ、ヤマハ、カワイ、ファツィオーリ、ベヒシュタインの5メーカー。演奏するピアノは出場者が選びます。
今回の優勝者、エリック・ルーさんがが弾いたピアノは、前回優勝者ブルース・リウさんと同じFazioli(ファツィオリ)。1981年創業という新しいメーカーですが、今では国際コンクール公認ピアノとして人気が高まりつつあります。
本選ではFazioliを弾いた人が2人、カワイが3人、スタインウェイが6人でした。カワイが大健闘!
以前はスタインウェイを選ぶ人が大多数でしたが、今回は第一次予選開始時点で半数でした。最近は他のメーカーを選ぶ人が増え、ピアノの選択にも多様性と時代の流れを感じます。ヤマハの人気はイマイチな様で…💦
メーカーごとに弾き心地や音色の個性があるので、選ぶ楽器でも演奏の印象がずいぶん変わります。一度、ピアニストに同じ曲を違うメーカーのピアノで弾いていただいて、聞き比べてみたいものです。
🎬 おわりに
ピアニストのレベルがどんどん上がっていて、審査員の方々はますます審査が難しくなっていくと思います。
技術面だけでなく、精神面のトレーニング方法も進んでいるのか「緊張でガチガチ」なピアニストがいなかった気がします。
さまざまな面で時代の変化を感じたコンクールでした。次は5年後。どんなピアニストが出てくるのか楽しみです。
今年の音楽鑑賞はこれで終わります。発表会や、クリスマスミニコンサートの準備に入るためです。
また来春の発表会が終わったあとに、“聴く時間”をゆっくり楽しみましょう🎶

