「電子ピアノでも大丈夫ですか?」後悔しない電子ピアノの選び方ポイント

「ピアノを始めたいのですが、電子ピアノでも大丈夫ですか?」

体験レッスンでよく尋ねられます。
最近は本格的な電子ピアノも増え、見た目や値段もさまざま。どれを選べばいいのか、迷ってしまいますよね。

このページでは、ピアノ講師の立場から「どんな電子ピアノを選ぶといいのか」「最低限ここはチェックしてほしい」というポイントを、できるだけわかりやすくまとめてみました。

お子さんでも、大人の方でも、「まずは無理なく始めてみたい」という方の参考になれば嬉しいです。


1. 本物のピアノじゃないとダメ?

本物のピアノが最適なのは言うまでもありません。
でも、価格や置き場所の問題、練習できる時間帯(特に大人の方は早朝や深夜になることもあります)を考えると、現実的にむずかしいという方も多いのではないでしょうか。

その点、電子ピアノはそういった負担が少なく、導入しやすい楽器です。
最近のモデルは技術の進歩がめざましく、「グランドピアノに近い音や弾き心地」がますます進化しています。「まずは気軽に始めてみたい」という方に電子ピアノはおすすめです。

もちろん、続けるうちに「もっと本格的な音やタッチで弾きたい」と感じることもあるかもしれません。そんなときは、一歩進んでアップライトピアノに買い替えるという選択もあります。新品だけでなく、信頼できる中古品を選ぶという方法もありますよ。

2. 電子ピアノ選びでチェックしてほしいポイント
~「鍵盤・機能・ペダル・椅子」どれも大事です~

電子ピアノってたくさん種類があって、何がどう違うの?
よくあるのが「見た目や値段で選んでしまって、あとから後悔する」というパターンです。

はじめの1台でも、最低限ここだけは押さえておくと、練習のストレスがぐっと減ります。
「せっかく買ったのに弾きにくい…」なんてことにならないように、鍵盤・機能・ペダルの3つのポイントを順番にご紹介します!

【88鍵必須!】鍵盤数

鍵盤数は88鍵あるものにしましょう。現代のピアノの鍵盤数は88鍵です。同じ数のものにしましょう!たまに61鍵・74鍵など少ない物がありますが、初心者でもすぐに足りなくなります。

【超おすすめ!!!】エスケープメント機能がついているモデルを選ぶ

電子ピアノの中にはエスケープメント機能がついているモデルがあります。電子ピアノのエスケープメントとは、グランドピアノの弾き心地を再現するための機能です。グランドピアノは鍵盤をゆっくり押すと、下の方で引っかかり感のようなものがあります。さらに押し込むとカタッとなります。(動画参照)

電子ピアノのエスケープメントは、それを再現したものです。

アップライトピアノにもない機能なのでなくても困りませんが、エスケープメント機能がついている方が断然弾き心地が良いです!

ただし、メーカーによってはあまり効果が感じられないこともあるので、できれば試弾してから買うことをおすすめします。

【固定タイプ一択!】ペダル

通常の電子ピアノであれば、ペダルは固定されています。ただし、どのモデルもアコースティックピアノ(グランドピアノ・アップライトピアノ)に比べたらかなり軽いため、レッスンでは重たく感じる生徒さんも多いようです。弾き心地にこだわったモデルでも、残念ながらペダルはアコースティックピアノにはまだまだ遠く及びません。

電子ピアノは卓上タイプもあります。ペダルはついておらず、必要な時にコードを差して使うものが多いです。このタイプのペダルは安定性が悪く、踏んだ時に滑って動くことが多いです。また、固定されているペダル(アコースティックピアノ・卓上タイプ以外の電子ピアノ)とは違って、自分の都合の良い場所に置くことができてしまい、変な癖がつきます。当教室では卓上ピアノはおすすめしていません。

持ち運びができるように軽量化されていて、外で演奏する方(ライブ活動)には最適のピアノです。

【意外な盲点!】椅子

椅子は本体色とお揃いのものが付属していることが多いですが、安価なモデルなど一部では別売りです。ですが、付属の椅子は座面が小さく安定性がイマイチです。小さいお子さんの場合は、椅子を一番高くして使うので安定性には特にお気をつけください!座る時と降りる時が最も要注意!!!練習時には、ご家族のどなたか見守ってあげると良いですね。

付属していても、高さの調節ができない物もあります。椅子の高さが合っていないと、腰痛や肩こりなどの原因にもなります。

ピアノ専用の椅子(高低調節できます)を別に用意することをおすすめします!

3.そのほか電子ピアノを選ぶ際のポイント

ヘッドホン

ヘッドホンは付属していることが多いですが、安価なモデルでは別売りになっていることもあります。付属していなくても手持ちものがあれば、プラグの大きさが合っていれば使えます。プラグのサイズが合わない場合は、アダプター(数百円程度)で対応できます。家電量販店などで簡単に手に入りますよ。ヘッドホンがなくても電子ピアノ本体が音量調節できるので、音量を絞って弾くことができます。

ただし、すべての電子ピアノに言えますが、電子ピアノの音量は調整できますが、“打鍵音”だけはどうにもなりません。実はこの音、意外と響くんです…!下の動画は、バイエル35番を電子ピアノの音量0で弾いたものです。初心者向けの練習曲でもこんなに響きます。練習時間帯には少し気をつけましょう!(動画参照)

中古の電子ピアノでも大丈夫?

はい、大丈夫です。楽器店でも中古を扱っているところがあるので、信頼できるお店で買いましょう。保証は短期間か、状態によってはついていないかもしれません。

寿命

電子ピアノは調律や整調などのメンテナンスがいりませんが、寿命がアコースティックピアノよりもずっと短いです。家電と同じ位とお考え下さい。部品の在庫がある限りは修理可能です。

ちなみにアコースティックピアノの寿命は50年以上!適切にメンテナンスされていれば、もっと長持ちします。

4. どこで買うのがいい?

楽器店で購入するのが一番良いです!家電量販店でも買えますが、取り扱いモデルが限られ、割引率もチョット違います。それから、電子ピアノは要組み立て(自力での組み立ては無理)なので、ネット通販の場合は組み立ててもらえるか確認しましょう。ピアノ教室なら、楽器店のご紹介ができるはず。購入先で迷っているなら、紹介してもらうのが一番安心安全でしょう!

5. まとめ:最初の1台は「ストレスなく弾けること」がいちばん大事

“高価=良い”とは限りません。毎日の暮らしの中で、無理なく弾けることがいちばん大切です。

6.おまけ:もっと本格的に!ハイブリッドピアノ

今はハイブリッドピアノというものもあります。ざっくり言うと「アコースティックと電子の良いとこ取りピアノ」

鍵盤やペダル、響板などは本物のピアノと同じ。音の出る仕組みは電子ピアノなんです。弦のない電子ピアノとも言えるでしょうか。

参考:ヤマハ「AvantGrand(アバングランド)」